環境依存の不具合

エンドユーザ(二次ユーザ)の環境の不具合に起因する、吉里吉里の不具合とその対策です。
吉里吉里の制作においては環境依存の不具合が出ないように尽力していますが、コンピュータの設定や構成は非常に多様である為、環境依存の不具合はどうしても発生してしまいます。
個別の症状に対する対処で対応できる場合もありますが、全般的には、以下のような対策を講じていただいてください。
吉里吉里のエンジンに対して設定できるオプションは、ほとんどが環境依存の不具合の対処の為にあります。コマンドラインオプションもご覧ください。

環境依存の症状

下記において「エンジン設定」とは、エンドユーザ向け設定ツール (エンジン設定.exe)のことです。
インストールしたデータが壊れている
症状としては「読み込みエラーが発生しました」等の読み込みエラー系エラーの発生や「作品実行中にフリーズする」、「EAccessViolationエラーが出る」、そのほか予測不可能な動作をします。
インストールしたデータが壊れている可能性があるので、「ファイル破損チェックツール」などを用いて、インストールしたデータが破損してないかを確認していただいてください。
フルスクリーン化に失敗する
フルスクリーンに失敗する場合、あるいはフルスクリーンからの復帰に失敗する(エラーが出る、フリーズする等の)場合は、エンドユーザの環境のDirectDrawに問題がある可能性があります。「エンジン設定」にて「フルスクリーン切り替え方法」を「ChangeDisplaySettings API」に変更していただいてください。
画面切り替え時やスキップ時にフリーズする
画面切り替え(トランジション時)やKAGでのスキップ時など、画面描画が頻繁に起こる場面でフリーズする場合は、ディスプレイドライバに問題がある可能性があります。
ディスプレイドライバのバージョンが最新の安定した物であるか確認し、古い場合は最新の安定したバージョンに変えて頂いてください。
あるいは、「エンジン設定」にて「DIB使用方法」を「BitBlt/DIB§使用」に変えたり、「ダブルバッファリング」の設定を変えると改善する場合があります。
nVIDIA製のグラフィックカードに付属してくるユーティリティである「nView Desktop Manager」をお使いの場合は、このユーティリティをアンインストールするか、無効にして頂いてください。
ビデオ再生に失敗する
オーバーレイによるビデオ再生に失敗する場合は、ハードウェアアクセラレーションを無効にすると改善する可能性があります。「画面のプロパティ」(デスクトップ上を右クリックして表示されるコンテキストメニューで「プロパティ」を選択して表示されるダイアログボックス)の「設定」タブで、「詳細設定」ボタンを押すと表示されるダイアログボックスの「トラブルシューティング」タブの「ハードウェアアクセラレータ」のツマミを、最大から順に「なし」の方向に動かしていって試行していただいてください。
スクリプト側で、ビデオの再生をしないような設定を設けることもお勧めします。
フルスクリーンにしようとすると吉里吉里コアがネットワークに接続しようとする
フルスクリーンにしようとすると、吉里吉里コアがインターネットに接続しようとするとして、セキュリティ対策ソフトウェア等から警告が出る場合があります。
吉里吉里はフルスクリーンにする際になって初めてDirectDrawをロードしますが、その際にDirectDrawのドライバのバージョンを調べます。この時、ドライバ署名の有効性の確認の為に crl.microsoft.com に接続を行う場合があります。これは、インターネットオプション (Internet Explorerからは [ツール] - [インターネットオプション]) の「詳細設定」タブ内の「発行元証明書の取り消しを確認する」にチェックが入っていると行われます。
この症状は、OSがそのドライバの電子署名の有効性を確認するために、インターネット上の情報を参照する際に発生する物です。実際に接続を行うとしているのはOSですが、吉里吉里のプログラム内でOSのその機能が動作するため、結果的に吉里吉里がインターネットに接続しようとしているように見えるかもしれません。これらはスパイウェアに類する処理ではありませんのでご安心ください。
エンドユーザが気になさる場合は、前述の「発行元証明書の取り消しを確認する」のチェックをはずして頂くか、セキュリティ対策ソフトウェアなどで該当アドレスへの接続を禁止して頂いてください。吉里吉里自体の動作に影響はありません。
フルスクリーンにすると画面が縦または横に伸びる
フルスクリーンにすると、画面が縦あるいは横に伸び、正常な縦/横比(アスペクト比)で表示されない環境が、とくに液晶ディスプレイを使用している環境であります。たとえば 640x480や800x600の画面をワイド液晶パネルやSXVAの液晶パネルでフルスクリーン化しようとするとそうなる可能性があります。
この場合は、ハードウェアのマニュアルを参照して頂き、アスペクト比を保ったままで拡大表示(フルスクリーン表示)できるように設定して頂いてください。
液晶ディスプレイによっては、液晶ディスプレイ側でアスペクト比を保ったままで拡大表示する機能を有している物がありますので、マニュアルに従って設定して頂いてください。
また、グラフィックカード(グラフィックチップ)によっては、ドライバでアスペクト比を保ったままでの拡大表示ができる物がありますので、マニュアルに従って設定して頂いてください。
吉里吉里本体の機能でもアスペクト比を保ったままでのフルスクリーン化が可能です。エンジン設定で、「グラフィック-フルスクリーン時の画面解像度」を「画面解像度を変えない」に設定すると、アスペクト比を保ったままでのフルスクリーン化が可能になります。
サウンドがとぎれたり、鳴らなくなったり、サウンド再生中にフリーズする
サウンドカードや環境によっては、ブツブツと再生がとぎれとぎれになったり、ノイズが乗ったり、途中から音が聞こえなくなったりします。場合によってはサウンドの再生中に限ってフリーズするなどの症状が現れます。
それがトランジション(画面切り替え)や重たいエフェクト中に発生するならば、エンジン設定で「システム全般-低優先度」を「する」に設定するか、「システム全般-CPU使用率低減」を「する」に設定することで改善する場合があります。
そのほか、エンジン設定で、「サウンド-DirectSound ソフトウェアミキシング」の設定を変更しても改善する場合があります。
あるいはコントロールパネルの「マルチメディア」(または「サウンドとマルチメディア」や「サウンドとオーディオ デバイスのプロパティ」)の「オーディオ」タブの「音の再生」の「詳細設定」を開き、「パフォーマンス」タブの「ハードウェア アクセラレータ」のスライダーを「なし」の方向に徐々に動かしつつ試行していただいてください。
操作がうまくできない
マウス移動支援やマウスジェスチャー実現ツールなどのソフトウェアが常駐していると、作品の操作をすることができない場合があります。このようなソフトの常駐を解除していただいてください。
サードパーティの(OS標準ではない)マウスドライバを導入していると、操作系に不具合を生じる可能性があります。このような場合はサードパーティ製のドライバを無効にするかアンインストールし、OS標準のドライバを使っていただいてください。
ゲームパッド対応ソフトウェアにおいてゲームパッド(ジョイスティック)がつながっている場合、パッドの不具合が原因で作品を操作できない場合があります。パッドの上に物が乗っている為にパッドのボタンが押された状態になってしまっていないかを、確認していただいてください。
また、ゲームパッド(ジョイスティック)が接続されていないと、パッドのボタンが押されている状態として検知してしまう環境があります。このような場合は、パッドのドライバを無効にしていただいてください。
ゲームパッドやジョイスティックの軸のセンターの調整が不十分のため操作に不具合がでる場合があります。この場合は、コントロールパネルの「ゲーム コントローラ」から、ゲームコントローラの調整をしていただいてください。
どうしてもパッドのドライバを無効にできない場合は、吉里吉里側でパッドを使用しない設定にできます。エンジン設定で「パッド使用可否」を「使わない」に設定していただいてください。
サードパーティ製のマウスドライバを使っている場合、ホイールでの入力できない可能性があります。この場合は、エンジン設定で「マウスホイール回転検出方法」を「ウィンドウメッセージ」に設定していただくと改善する可能性があります。
スラッシングが頻繁に起こる
メモリ不足が原因で、スラッシング(大量のスワップイン・スワップアウト)が頻繁に起こる場合があります。
エンジン設定で「システム全般-メモリ使用量」を「低い」に設定すると改善する場合があります。
ただし、パフォーマンスが低下しますので、「システム全般-メモリ使用量」のオプションは変更せずに、「グラフィック-画像キャッシュ制限」を「4MB」や「8MB」などの比較的低い値に設定することで、パフォーマンスをあまり低下させずにメモリ使用量を減らすことができる可能性があります。